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リクナビ、学生データ販売問題

 リクナビが学生の個人データを企業に提供し、企業から報酬を得たことが大きな問題となっています。専門学校生や大学生、大学院生が就職活動を行うに対し、希望する会社の基本情報を入手したいものです。リクナビを通じて企業データの入手が可能です。しかしその為には、氏名や住所、学校名等個人に係る情報をリクナビの指定に基づき情報登録しなければなりません。

 リクナビへ登録すると、希望する会社へのエントリーができるらしく、その点では使い勝手が良いのです。多数の企業情報を閲覧し、業界情報も知ることができます。

 それでは、リクナビが企業の要請に基づいて登録学生の個人情報を提供したことに対し、何処に問題があるのでしょうか。

 第一に、会社の情報提供要請に関し、リクナビに登録する時点で「登録した個人情報は加工したものも含めて第三者である企業に提供することがあります」と「お知らせ」をしていなかったことです。個人情報が登録学生の知らないところで、加工され(プロファイリング)、また第三者に提供されるということが問題とされているのです。

 第二に、企業の情報提供に安易に応えている点です。学生はリクナビを通じて、多様な業界又は企業の情報にアクセスできます。「A業界で複数の企業の情報を閲覧した学生は、B業界で内定を得ても辞退する可能性が高い」と圧倒的な情報を駆使して、リクナビは情報整理(プロファイリング)ができるのです。プロファイリング自体も注意すべきですが、辞退者を出したくない企業の要請に安易に、それも有償で応えるとなれば、社会的基盤とも言えるプラットフォーマーの「情報管理を厳密に」という社会的要請に応えているとは言えません。

 第三に、提供した事実を当の本人である学生に知らせていないことです。知らせる前に事前許諾を得ていないことです。事前許諾を得ようとすれば、学生から不信感を持たれることになりかねません。よって、リクナビが事前許諾を得ようとしないのは理解できますが、事前許諾がなければ社会(と学生)から個人情報保護の脱法的行為ではないかと非難されるでしょう。前門の虎後門の狼状態で、今回の事案はリクナビは地雷を踏んでしまったのです。

 企業の個人情報の取扱いに関する関心度は年々高まってきています。今回のリクナビ事件を他山の石として認識し、これまで以上に取扱いに注意して欲しいものです。