
図表を添付しました。7月21日(日)の日本経済新聞の一面に「『最低』に張り付く賃金-打開のカギ、生産性向上に-」という見出しでレポートがあったものから抜粋したものです。
今年の10月に最低賃金の改訂が必ずあります。参議院選挙は終わりましたが、自民党他各政党は最低賃金の引上げを声高に主張していました。働く世帯の生活保障という美辞麗句を並び立てていますが、会社経営者は最低賃金の引上げに苦しめられています。よって最低賃金の引上げに対応しなければならないのですが、従業員の時間単価は最低賃金に近い額で張り付いているのが現実です。その事実が新聞記事に詳しく報じられていました。
添付図表では、6ヶ国の10年間の最低賃金伸び率と生産性伸び率との比較をしています。韓国は生産性伸び率が30%台であるにも関わらず、最低賃金の伸び率は60%台です。その差は何と30%です。その結果、中小零細企業の自主廃業や大企業では生産拠点の海外移転などが発生しているようです。この動きは国内総生産の鈍化となって表れてきます。
さて日本はどうでしょうか。やはり生産性伸び率が最低賃金伸び率よりも大きく下回っているようです。生産性伸び率が最低賃金伸び率を上回っているのはフランスと米国の2ヶ国です。米国の最低賃金はこの10年間でほとんど伸びていないことが分かります。これが決して「良い」というのではないのですが、生産性伸び率>最低賃金伸び率の公式を維持していくことが、マクロ経済活動の伸長の為には必要であると言えそうです。
会社単体に変換すれば、賃金(給与)伸び率は生産性伸び率以下に抑えるという方針が打ち出されます。生産性向上のために労使双方で知恵だしをする、このような継続的努力が必要なのです。