· 

1~3月期のGDP成長率を診る

 内閣府が20日に今年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報値を発表しました、前期比0.5%、年率換算で2.1%の成長となったようです。速報値は後日発表される確定値より不確かですが、年率2.1%成長となれば景気は成長路線にあるという結果になりそうです。

 しかし、この0.5%(年率2.1%)成長には裏がありそうです。GDPは大きく4つの要素から構成されています。構成比では個人消費が一番高く、概ね60%前半です。この個人消費の05%増の貢献度は0.1%程度だそうです(21日付の日本経済新聞朝刊)。後の40%弱は政府投資、民間(企業)投資、外需の3要因が12~14%程度で横並びです。日本経済新聞の記事では外需が0.5%のうち、0.4%も寄与したというのです。

 何で?というのが素直な疑問です。トランプ大統領が中国へ圧力をかけて米中間の貿易不均衡の是正に取り組んでいます。中国の輸出産業は米国輸出が高い関税の壁のためにダメージを受けていると言います。その余波を日本の素材生産や生産財製造企業へと波及し、輸出先導の企業の業績悪化が喧伝されているからです。

 外需の寄与度は、”輸出>輸入”の差異によって計算されるようです。期間中の輸出は前期比で△2.4%だったのですが、輸入は更に減少し△4.6%とリーマンショツク直後以来の落ち込みだったと言います。正に数字の魔術ですね。輸出と輸入の両方とも減少したが、輸入の落ち込みの方が高いために結局は外需がGDPを押し上げたというのです。

 さて、4~6月の数値が気に係るところです。発表は8月中旬になるのでしょうか? 参議院の通常選挙が7月中に行われる可能性が高いです。よって新しい国会の議席が確定した後にGDPの発表となるでしょう。10月の消費税増税が確実に実行されるのか、エコノミストでなくても大いに関心があるところです。