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現金化されていない利益とは?

 昨日のNHKニースで、また今朝(5/10)の日経新聞でも報道されていましたが、孫正義氏が率いるソフトバンクグループの営業利益が2兆3千億円になった様です(平成31年3月期)。売上高9兆6千億円で2兆3千億円ですから、営業利益率は24%です。ちなみに、前年度(平成30年3月期)は、売上高9兆1千億円、営業利益1兆3千億円です。売上の伸びと比較して営業利益の伸び率の凄さが際立ちます。

 しかし、そこは流石に日経新聞です。営業利益には「現金部分」と「含み益部分」の2種類あることに言及していました。Gの主力である通信会社ソフトバンクなどが稼いだ利益は1兆円程度。「それでは残り1兆3千億円は何?」という質問が出そうです。これが含み益です。含み益はまだ実現していない利益であり、現金化されていません。孫さんが運用している10兆円ファンドが好調のようで、投資した会社(の株式)の評価が上昇した為に、(含み)利益として決算に計上したのです。

 言い方は悪いのですが、含み益は「絵に描いた餅」の状態です。投資先の評価が下がれば、翌期以降は含み損が発生する可能性すらあるのです。会社の存続は「現金収支」にあります。現金が増えなければ資金ショートする恐れがあります。日経新聞も10兆円ファンドを始めとして膨れ上がった債務を返済する資金は、現金化された利益であると喝破していました。

 経営者は「利益は現金・預金を増やすための手段である」という認識を強く持って頂きたいと思います。利益が増えても、現金・預金が減少するという事態も発生するのです。現金主義が大事であるということをソフトバンクGの決算内容から改めて感じとりました。