令和元年(!)5月6日付の日経MJに「9平米の極小アパート」のタイトルで、東京都の最近の住宅事情が掲載されていました。ある不動産開発会社が設計し供給した極小アパートは、61棟・約1100部屋(18部屋/棟)で入居率はなんと!99.7%だというのです。家賃は6万~7万/月とのこと。「狭~い部屋に7万円弱の家賃を誰が支払うのか?」と思うのは私だけでしょうか。
東京都、特に23の特別区内では人口の社会増もあり、私的空間・居住スペースの確保が困難なのでしょう。最低賃金の上昇(東京都での実勢の時間給は1500円らしいです!)、また人材不足から売り手市場になっている労働市場、そして人付き合いの煩わしさから生涯独身の比率も上昇し続けています。独りでも暮らしていけるのです。男女問わず、そこそこに稼げて楽しく人生を過ごしたいと思っている若者や中年が増殖中です。例に上げた9平米極小アパートの入居者の94%は10~30歳代らしいのです。このような記事を目にすると少々気分が滅入ってしまいます。
働き方改革の手法として喧伝されているテレワーク。PC1台あれば自宅で、またカフェ等を転々としながら仕事をし、事務所に出社するのは週に1回程度という会社もあります。GW中のTVで観たのですが、あるIT企業は事務所自体をなくしたそうです。社員同士の報連相は全てネット。これでは社員の熱気が希薄化するとして始めた飲み会。これもネットでつなぎ、各社員は自宅に居て、PCのモニターに映る多数の社員と歓談しながら飲むというのです。この会社は創業以来、増収増益を達成しているというのですが、果たしてこれで企業の一体感を維持し拡大していけるのでしょうか。とても不思議な世界です。
人は社会的な動物です。対人関係をどのように築き磨いていくか、これに頭を悩ませてきました。しかし、この悩みがあるからこそ、「人らしい仕事ができ、人生も送れる」のではないでしょうか。仕事が終わったら狭い部屋に閉じこもり、またテレワークの進展により同じ傘の下で働く他の社員との接点も少なくなってくる。そして結婚もせず、家庭も持たない生涯独身の男女の増加。日本の未来はどのようになっていくのでしょうか。少々不安な私です。