消費税増税対策で世間が徐々に騒がしくなってきました。国がやろうとしている対策の狙いは、「増税前の消費盛り上がりと増税後の買い控えによる販売の停滞を防止する」ことでしょうか。それにしても分かりりにくい。国は「下手な鉄砲でも数打てば当る」とでも思っているのでしょうか。
今日(30.12/21)の日経MJに、欧州では消費税(付加価値税)の増税があっても、事前の買い急ぎと事後の買い控えはほとんど発生しないとありました。その理由は面白いことに、消費者の消費習慣にあるのではなく、小売り等の売り手の対応にあるというのです。
売り手は消費税アップの数か月前から、徐々に販売単価を上げておくというのです。そして消費税が上がったときに、上がる前の消費税を含む価格(内税表示)を据え置くか、又は若干の値下げをするというのです。例え値下げをしても、既に増税数か月前の販売価格(内税表示)よりも若干高くなっていますので、売り手はしっかりと利益を確保できます。
消費者側もこのような売り手の対応を理解していますので、増税前の「少し高い価格での購入は控える」ことになります。よって、増税前の売上急増が発生しないのです。
便乗値上げと受け止められると売り手の姿勢がお客様から糾弾されますし、同業他社にお客様が流れる可能性もあります。しかしある程度、その市場では寡占的ポジションを獲得しているのであれば、販売価格を需要の調整弁として活用することを考えてみると良いでしょう。
現実に価格を需要調整弁として活用している例として、ホテルや航空会社があります。需要が高まると受入能力に限界があるため、価格を値上げして(季節価格)、需要過熱を鎮静させるのです。また、需要が少ないときは、価格を引き下げて需要を喚起します。サービス業でよく採られている価格戦略です。
このような事例があることを理解して、あと9か月となりましたが、消費税増税対策を実行してみては如何でしょうか。