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大分県の最低賃金の予想

 今年(平成30年)の10月以降、大分県の最低賃金が762円となりそうです。中央の最低賃金審議会の答申額より2円上乗せの方針がほぼ固まったようです。現行の最低賃金は737円ですから、25円のUPとなります。この25円UPがどのような影響を与えるかを労務費率(人件費÷売上高)の観点から言及してみたいすと思います。

 ネットで検索したところ[平成29年中小企業実態基本調査速報(要旨)、中小企業庁、平成30年3月29日]という資料を発見しました。この資料から全産業での労務費率は17.3%と計算されました。737円の人件費を17.3%で割り戻すと、1時間・1人当り4,260円の売上が必要です(737円÷17.3%)。同様に762円の時は4,405円の売上です。単純計算ですが、1時間・1人当りの売上高を3.4%(4,405円÷4,260円)伸ばさなくてはなりません。

 実際の経営は単純ではありませんので、売上伸び率が3.4%未満であっても賃金の伸び率を吸収することは可能かも知れません。また、売上を3.4%以上伸ばしても賃金UPの影響を大きく受けてしまう可能性もあります。経営というのは、難解な方程式を解くのに似ています。

 ただ言えることは、このまま最低賃金が上昇していけば、アルバイトやパートタイマーの他、正社員の賃金(給与)への上昇圧力が強まっていくことは確実です。数ある経営資源のうち、”ひと”という資源を効果的に使っていく必要があります。小売業では無人コンビニが日本で出現していますが、全ての業種・業界で[無人の生産体制]や「無人での商品販売」、「無人でのサービス提供」が浸透していくことはありえないでしょう。エンドユーザーという言葉に表すように、商品を買いサービスを受ける相手は”ひと”なのです。よって、”ひと”という経営資源への対応力が、企業経営に当って大きな経営課題であり続けることは確実でしょう。

 人的生産性をどう高めていくか、”ひと”と”働く時間”とを組み合わせた人時生産性をどう引き上げていくのか、経営者は引き続き考え続けていくことが求められています。